「そろそろ見直した方がいいのかも」と思ったきっかけ
保険証券が引き出しの奥から出てきた。契約日を見ると10年以上前。当時のまま更新していない医療保険を持っている50代は、案外多いのではないか。私自身、この記事を書くにあたって「見直すべきタイミングとは何か」を調べ直してみることにしました。
医療保険は一度入ると安心して、その後は見直さないまま何年も放置してしまいがちな商品です。しかし年齢が上がれば入院日数の傾向も変わりますし、勤務先の制度が変わることもあります。何より、若い頃に選んだ保障内容が、今の生活に合っているとは限りません。
医療保険の見直しタイミング、一般的にはいつ
生命保険文化センターなどが公開している情報を見ると、見直しのタイミングとしてよく挙げられるのは次のようなライフイベントです。
- 転職・退職して勤務先の福利厚生が変わったとき
- 子どもが独立して必要保障額が下がったとき
- 住宅ローンを完済したとき
- 更新型の保険料が上がる更新時期を迎えたとき
このうち50代で特に関係が深いのが「更新型の保険料上昇」と「退職による福利厚生の変化」です。10年更新型の医療保険は、更新のたびに年齢基準で保険料が再計算される仕組みが一般的で、50代・60代での更新は保険料が大きく跳ね上がるケースが目立ちます。契約時の保険証券に「10年更新」「80歳満了」などの記載があるかどうか、まず確認しておく価値はありそうです。
50代特有の事情、定年と会社の団体保険
会社員の場合、勤務先が用意している団体医療保険や、健康保険組合独自の付加給付を利用している人が少なくありません。付加給付とは、健康保険組合が高額療養費制度に上乗せする形で、自己負担をさらに軽減してくれる制度です。
この付加給付は退職と同時になくなります。定年後に国民健康保険や任意継続に切り替えると、自己負担の水準がそれまでより上がる可能性がある、という点は見落とされがちです。会社の福利厚生に頼って民間の医療保険を最小限にしていた人ほど、退職前後で保障額の見直しが必要になる場面があると考えられます。
勤務先の健康保険組合に付加給付があるかどうかは、加入している組合のホームページや組合員向けの案内で確認できることが多いようです。自分の会社にその制度があるかどうかを知らないまま定年を迎えると、想定していた保障の前提が崩れることになります。
高額療養費制度を知ってから考える保障額
医療保険の保障額を考えるうえで欠かせないのが、公的な高額療養費制度の存在です。厚生労働省の資料によると、69歳以下の場合、標準報酬月額に応じて自己負担限度額の区分が分かれています。年収約370万円〜約770万円の区分であれば、自己負担限度額は「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」という計算式が使われ、月々の負担には上限が設けられています。
この制度を踏まえると、民間の医療保険で備えるべきなのは「青天井の医療費」ではなく、「限度額までの自己負担分」と「入院中の収入減少」だと整理できます。差額ベッド代や食事代、先進医療の技術料など、高額療養費制度の対象外になる費用をどこまで見込むかによって、必要な保障額は変わってきます。
会社員であれば、傷病手当金という制度もあわせて確認しておきたいところです。業務外の病気やケガで働けなくなった場合、健康保険から標準報酬日額の3分の2相当が最長1年6ヶ月支給される仕組みで、これも「保障の穴」を考えるうえで無視できない要素です。
見直すときに引っかかりやすい告知義務
見直しを検討し始めると、次に立ちはだかるのが告知義務の壁です。医療保険に新規で加入する際は、過去の病歴や現在の健康状態を保険会社に正確に申告する必要があります。持病がある場合や、健康診断で経過観察を指摘されている場合は、通常の保険には加入しづらくなったり、特定の部位を保障対象外とする条件が付いたりすることがあります。
50代になると、健康診断の数値に何かしらの指摘を受けている人が増えてきます。「見直したいけれど、新しい保険に入れるかどうかわからない」という不安から、結局見直しを先延ばしにしてしまうケースもあるようです。この場合、告知項目がゆるやかな引受基準緩和型の医療保険という選択肢が存在しますが、その分保険料は割高になる傾向があるため、既存契約を解約する前に両方の条件を並べて比較する作業が欠かせません。
医療保険の見直しは、保険料の安さだけで判断できるものではなく、公的制度でカバーされる範囲と、勤務先の制度、そして自分の健康状態という3つの軸を同時に見ないと判断を誤りやすいテーマだと感じます。
参考情報
- 生命保険文化センター
- 厚生労働省
- 全国健康保険協会
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